2015年2月25日水曜日

米国のトップ1%収入

一般に、トップ1%の収入が40万ドル(個人)、50万ドル(世帯)といわれてます。トップ5%が16万ドル。10%が8万ドル。

なんで、THE PAGEの以下の米国は年収1億円との記載は嘘です
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150224-00000013-wordleaf-bus_all

プライベートジェットとか、あるのは、20-40万が中間層と言われるマンハッタンで、特に目立ってお金持ちの人たちの生活です。それこそ、全米トップ400人とか。

ここらへん昨年、いろいろ考えたテーマなので、いくつかリンクを共有しておきます。

米国の富の偏在についてのわかりやすいビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=QPKKQnijnsM

5%くらいの人が1500万円稼ぐってのは夢がある気がしますが、上は本当に青天井ですね。一方で、不正給付が多いと言われる生活保護チケットですが、4600万人もらってるとか。

同じく世界の富の偏在について
https://www.youtube.com/watch?v=DJtOhfpGlZ8

アメリカで、ロースクールに行く価値について。トップファームの1年目は現在横並びの16万ドルです。ボーナスは多少違いますが、昨年は結構良かったようで、足すと20万ドルになる場合もあるとか。授業料は年間6万ドルが3年(私学)、卒業時の平均学生ローン残高は、12万ドル。トップファームとそれ以外の収入格差は結構あり、山が2つある感じ。きついと見るか、いけるとみるか。
http://www.businessinsider.com/law-school-worth-money-job-rank-2015-1

サラリーマンの平均収入。
http://nensyu-labo.com/heikin_suii.htm

米ドルベースだと、アベノミクス以降、上記のグラフの上下よりはるかに大きい円の価値の下落により1/3ほど減ってます。ドルベースでのアベノミクス以前の状態まで戻せるのはいつか。アベノミクス、他にやりよう思いつかないので、現状を揺さぶるという意味では、それなりに意味があると思いますが、基本的には、一度大きくしゃがんでという政策なので、ちゃんとその後に大ジャンプがないとやっている意味はありません。まだまだジャンプ始まってないと思うので、しっかり果実を取って行ってほしいです。

ちなみに、その下がった給料ですら、会社からクビになると、その収入を稼げない人がほとんど。って、どんだけ低いんだろう、日本における純粋な労働の価値、って思います。日本人のサービスはかなり良く、主婦の家事能力も高い、ただ、それが全部無料扱いで、それを当然としていることと、無縁とは思えないのですが。

資産については、米国ではある程度きちんとした数字が出ているが、日本の役所のデータは、金融資産に限っている。このやり方では、住宅ローンだけ計上されて、住宅の価値は計上されないので、どうかな、と思う。ただ、資産のほとんどは円預金なので、こちらも1/3ほど価値を失っています。アベノミクスで。
http://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.htm

税金は、所得税が以下
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm

税金の国際比較
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/234.htm

住民税を足しているのは当然として、サラリーマンには、国保、年金が加わります。厚生年金は、12%超。
http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/00000212326QlC7K0yfd.pdf

400-600万の課税所得があるとすると、ざっくり、所得税20%+住民税10%+厚生年金12%+保険料が引かれた金額しかきません。所得税は400万相当くらいまで10%だったり、無料部分もあるので、実効で考えると上記所得税を12%-15%くらいで考えるのがいいかもしれません。使うときは消費税8%。物やサービスは、当然提供者の利益もあるので、実際に、労働して給料もらってものを買うというのは、かなり、きつい行為というのがわかります。

本は、ピケティの本がグローバル的な観点から書かれており、coming apartってのが米国の観点から書かれてます。

Coming Apart: The State of White America, 1960-2010


上位者の給料のみが上がる仕組みと、それの学歴とのヒモ付について。
http://www.theatlantic.com/business/archive/2012/12/a-giant-statistical-round-up-of-the-income-inequality-crisis-in-16-charts/266074/

こういう情報をみてると、10%が問題という問題提起と、1%が問題という問題提起と上位400名がやばいんだという問題提起の仕方があちこちでばらばらに散見されます。





2015年2月20日金曜日

大学進学の価値

大学進学はその価値があるのか。

アメリカの議論

アメリカでは、私学が年間500-700万円程度授業料だけでかかるようになってきたのもあり、こういった話題が良く取り上げられます。公立校も、リーマンショック以降授業料値上げが顕著で、200万程度にいたる勢い(ただし、日本から応募すると、域外生徒ということで私学並みにとられる)と高くなっています。

アメリカの基本的な考え方は、かかる費用を計算するというよりは、とれるだけとる。どれだけ取れるかを議論する感じです。たとえば、私学の費用を決める場合は、平均収入の追跡をして、高卒と大卒、大卒と院卒の平均給与の差から、学費を正当化しようとしたりします。その結果最近の社会人であるミレニアム世代は、学生ローンに苦しむことになります。

公立校については、リーマンショック(こちらでは金融危機というようですが)後に、税金の使い方を見直す議論が増えたのが大きいです。通っている学生にだけメリットがある税金の大学への投入を減らし、もっと全体がメリットを受けられるものに支出していこうというものです。大学としては、支出が減らせるというものでもないので、授業料を値上げしたい。一方で、学生ローンには、どんどんお金を投入すべしという国策もあり、どんな生徒でもじゃんじゃか貸してもらえる。とすると、学生ローンが借りられる限度まで、授業料を高めてしまえ、ということになるそうです。したがって、税金が減った分、金融機関が自由に学生ローンを貸し出す分、すべてが、ミレニアム世代の学生の借金になっている、それは、大問題だという議論があります。

また、授業料が高いほうが学生が真剣になってよいという話もあります。たしかに、宿題などは多いですが、就職に必要な成績をとったあとは、特にネイティブは、そこまで勉強しているかなぁというきもします。

日本の議論

近時、日本の給与の高卒・大学・院卒の水準が公表されました(平成26年賃金構造基本統計調査)。プレスでは、男女間の給与格差に商店が当たっていましたが、大卒価値の議論にも使えそうな資料です。

 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2014/dl/03.pdf

日本の大学の授業料はアメリカに比べかなり安いですから、平均像で見る限り、大学へ行く価値はありそうです。ただ、自分で事業を行うなど、いわゆる平均像から遠いキャリアを歩みたい場合は、時間の無駄ではないか、などの議論も ありえるところです。

日本の大学としては、大陸欧州スタイルで、誰にでも開かれた低額の大学(ただし卒業はむつかしい)を目指すか、授業料を高くしていく英米系を目指すか、正念場だと思います。少子化、政府の言う国際大学ランキングの上昇など、いろんな利害関係も絡むでしょうし。

多難ではあるでしょうが、ぜひ、国際的に評価される学校が増えて、かつ、国民に開かれた最高学府となっていってほしいものです。私個人的にも子供の学費はどうしても気になるところですので。

資産形成と海外駐在の有利不利

資産形成を行うのは、一か所(一か国)でじっくりとというのがいい気がします。ただ、海外駐在があるなら、それを生かした資産形成というのも考えてみる価値はあります。

*当方、税理士ではありませんし、会計・法律・税務のアドバイスをいたしません。また、金融業者でもなく、いかなる金融商品の推奨もいたしません。 ブログはあくまで、記載時の私の浅知恵による誤解が多々含まれるものとして、ご笑覧いただくにとどめくさださい。いかなる判断も、みなさまの自己責任で行っていただきますようお願いいたします。


1. 居住国変更と長期投資対象の選択

居住国の変更が予想される場合、商品の選択の幅は狭まりますし、長期保有も難しくなります。

各国で税率も基準も違えば、投資できる商品も異なってきます。長期投資を前提とすると、居住国を移転していくのは長期投資というスタンスから外れてしまいます。

 長期投資

サラリーマンの取引は基本的に、長期投資として、投資にかける時間を減らすべきではないかと思っています。得られるリターンが不確定である一方、失われる時間(仕事・家庭・趣味の時間)が確実に発生するという形があるように思われます。ここら辺は、いわゆるインデックス投資家の方々がおっしゃっておられることに激しく同意です。

一方、毎日自分の資産をチェックする人のほうが投資のリターンも資産形成もうまくいくという記事もアメリカでは見かけます。本当にこれが関連するのかわかりませんが、自分の資産形成を常に考えておくというのは重要だと思います。なので、いつも値動きを軽く把握しておき、実際の売買は抑え目にというのが一つの目安になりますでしょうか。
 
そういうスタンスに立つと、税金を納めるという観点から、強制的に売買を強いられたりする可能性がある海外駐在というのはいかにも不安定な地位となります。長期保有の複利効果もあったものではありません。

1億円以上の資産がある方は、出国税もかかるようですし。

 節税スキーム等の法的リスクの増大

日本にNISAがあるように、各国それぞれ、ある程度の制度はあります。しかし、それぞれの国に、税金上有利な積み立て方法があっても、身分が安定しない駐在ではいまいち使えなかったりもします。またできたとしても、当該国と、日本との将来にわたる法制度の変更リスクを二重に甘受しなければならず、あまりお勧めできません。極端な話、その国と日本が戦争になったり、対立したりした場合、どうするかという問題があります。また、アメリカや日本は国際的な資金の逃避の補足に躍起になっており、どんどん居住国以外に資金を保有しておくというのはリスクが増える状況になっています。

また、日本に帰国ではなくさらに別の国に駐在という可能性もある場合、その第三国に行った場合にも保有し続けられるか、それぞれの国での制度の変更リスクはどの程度あるかという問題が発生します。駐在国が増えれば増えるほど、この法的リスクの増加は無視できなくなります。

 したがって、以上からすると、海外駐在中には、基本的にその駐在国の上場商品を取引することとし、その駐在を終える際には、あきらめて一度手仕舞いして、キャピタルゲイン課税をされてしまう、というのが、現実的な期待値となってきます。ちなみに以前も書きましたが、日本の投資信託は非上場商品で、同様のファンドは、いろいろな販路を通じて各国で広く利用されていますが、出国までに売却できない可能性を考えると、これらをなるべく利用しないようにしたほうがいいようにも思われます。

 日本に口座を残して売買

なお、日本に投資口座をもっておいて、貯金を投資にまわすというのも考えられます。日本の金融機関の内規上難しいですが、居住性について虚偽の申告をし、口座から自動で引かれる日本の税金(本来は非居住者は払う必要ないとのことですが)を払い続ける場合、現状でばれる可能性は高くはないと思います。ばれない場合も多いかと思いますが、先述のとおり、海外居住者に対する補足を強める日本の方向性からして、その内規について、役所が実効性を強めるべく動く可能性は十分にあると思います。 また、ばれた場合のことを考えると、あまり多額について、この方策をするというのは無視できないリスクが発生するように思われます。


2. 基軸通貨の選択の困難

円は、思いのほか価値が上下する通貨です。ドル・ユーロの連動幅に比べると、段違い。中国・香港・カナダ等のドルとの値動きに比べても。なので、投資をグローバルでやろうと思った場合、日本円の価値で見るのか、米ドルの価値でみるべきなのか、考えれば考えるほど、海外生活が長くなればなるほど、わからなくなります。米ドル以外の通貨で生活を始めると余計です。

この点も資産形成を考えていく上でかなり大きな障害です。


 3. 不動産の購入が困難

 不動産は、通常、株式以上にさまざまな税金上の恩恵を受けられる制度が各国にあります。したがって、ある程度資産が大きくなってくるとぜひ組み入れたいアセットクラスです。また、マイホームというわかりやすい夢の実現にもなりますし。

これが、外国人には利用できない仕組みがほとんどです。また、その国の非居住者にも利用しにくかったりします。とすると、日本で買った不動産については、非居住者となり恩恵を受けにくくなります(たとえばローン減税)。海外で不動産を買う際には、外国人として、利率・制度の恩恵をうまく受けられない場合が考えられます。海外不動産を購入して帰国した場合は、たとえ現地で制度の恩恵を受けても、帰国後は非居住者として恩恵を受けられないことが考えられます。

なので、一般的には不動産の購入は、あきらめたほうがいいのではないかと思います。

ただ、日本の低金利は、世界的に見ても際立ってますし、マイホーム取得の際の金利の低さは特出ものです。なので、出国直前にフラット35などを利用して買うのは、ありかなとも思います。

機構のフラット35と転勤

機構のHPによると、中小企業金融円滑化法を契機として、転勤等の住所変更を従来の承認制から、届出制に変更し、同法終了後もその仕組みを維持するようです。また、その間第三者に貸し出すのもありと明記されています。
http://www.flat35.com/user/enkatsu/taisei.html

したがって、この仕組みがある間は、転勤が正式に決まったあとはともかく、その前であれば、低金利でお金を借りて家を買って、海外駐在に行く(あわよくばその間貸し出す)というのもできそうです。また、その間に、不動産価値があがると、さらにおいしいです。

ただし、
- 住所が日本になくなるので、住宅ローン減税等の対象にはならないと思います。
- 駐在先のアパートやその他の借り入れの際(たとえば海外で不動産を買う)に不利益に判断される可能性があります。
- 日本での確定申告と駐在先での国の税務申告の際の調整等が発生します。

なので、基本的には、不動産価格があがる見込み(少なくとも下がらない)の場合に、これを行うといいのではないでしょうか。その場合でも、地震大国かつ人口減少中の日本で、その場合がどの程度ありえるのか、という問題はあります。


4.メリット

では、海外駐在をすることによるメリットはないのか。

基本的にないと思います。人生経験として豊かになること、視野が広くなること、タフになることなど、成長要素は多いですが、こと資産形成に関しては驚くほど少ないです。一時いわれていた、エクスパット手当て、駐在手当てといったものも縮小傾向ですし。

生前贈与

いまのところ、一番大きいかなと思っているのが、生前贈与です。

日本では贈与税・相続税の最高税率は高く、よりいっそう高くなる方向です。また、相続税の免除範囲はどんどん狭まる方向です。ただ、世界では、贈与税が、低い国、ない国というのは多々あります。
http://海外送金税金.com/tax_system/index.php#tax04

これらの国で贈与を行った場合でも、日本人間の贈与である限り、贈与税がかかるのが基本です。武富士事件以後、さらに要件は強化され、日本人間では受贈者の両方が、5年を超えて日本の居住者ではないことが求められます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4432.htm

この要件を満たす場合は、原則として、年間100万円とかの贈与税がかからない額に関係なく、資金を海外において、どかっと現地で贈与しても、贈与税はかからないということになろうかと思います。もちろん、場合によって課税回避として争われる余地もあるとおもいますが。

これは結構大きいです。

私の場合の、資産形成の主目的は、老後資金、教育資金、遺産ですが、老後資金以外については、子孫がもっていてくれていいですし、関係が壊れていないことを前提に、老後も渡した資金で養ってもらってもぜんぜん問題ありません。

なので、これを利用できる可能性があるというのが、駐在における資産形成の最たるメリットではないかと思います。武富士事件前は、5年要件がなかったことを考えると、法の悪用により、みんなが損しはじめている典型でしょうが。

リスク

<日本の学校への夏の帰国>
ただし、子供を7月に日本の学校に1ヶ月通わせる場合に、住民票を日本に移すということを考えている場合、これにより5年の要件を満たさないと思われるので、そのアレンジが必要な方は、無理かもしれません。

<贈与の否認>
新生児は、タックスアンサーに記載はありませんが、5年を超えて日本に住所なしという要件をみたすような気がするので、即座に利用できるのではないかと思ってます。ただし、新生児の場合、実質的にみて贈与がないとして、後の相続時に、贈与を否認される可能性があると思います。

しかし、贈与の否認は相続から近いところほどリスクが高いと思われるので、長生きすればかなりリスクは低減されるのではないかと思います。 また、税金を毎年子供が納めていた場合は、なおさらではないかと思います。

また、金額も、最初の贈与のときの金額になるので、長期で考えると、否認のリスクを理解しても、早めに贈与するというのはありかもしれません。たとえば、3000万贈与して、長年の運用の結果、相続時にその口座が1億円になっていた場合、否定されるのは3000万の贈与ではないかと思います。とすると、3000万の贈与への課税であり、同じく親口座で運用して1億の相続となって子に相続する場合より、税金額が少なくなってくるのではないかと思います。

<子の税金書類の発生>
 子が金融資産を持つことになるので、配当、キャピタルゲイン等、今後毎年居住国および日本での税金関係の手続きが発生してきます。

<贈与金額が捻出できない>
 新生児に贈与する場合に起こりがちなのが、子供が生まれる段階では、親世代に渡せるほどの資産がない(笑)ということです。この場合はどうしようもないですね。あくまで贈与するものがあるときということとお考えください。


キャピタルゲイン

一部の国だけですが、香港・シンガポールなどキャピタルゲイン課税のない国があります。出国税のところでも議論されているとおり、金融機関の内規違反はともかく、国外に出てから出国税が課せられない限度で日本の証券会社に預けてある商品を売却した場合、日本の課税はなされません。また、駐在先の国はキャピタルゲイン課税をされません。したがって、日本出国以前に長期保有しており、多額の含み益がある資産を、そのような国に行ってから売れば、一切キャピタルゲイン課税をされないということになります。

その当該国にいって、同じアセットクラスを買うことにすれば、たとえ、日本帰国時に売り忘れて帰ったとしても、買いなおしたときの金額が取得金額となります。

また、キャピタルゲインのない国から帰国する際には、含み益がある資産だけ売って、含み損があるものは、当該国において帰国するということも考えられます。その場合、海外資産として、日本で納税の対象となりますし、日本における金融商品の保有と異なり、損益通算の範囲等も狭くなる可能性が高いですが、それでも、おなじアセットクラスを日本で買いなおして、含み益の金額が大きくなるより有利になる可能性があります。日本帰国後に海外口座をもつのは、基本的に税務申告がめんどくさくなるだけでいいことはあまりないと思いますが。


以上、ざっとネットを見ても、駐在時の資産形成という観点から書いているものはあまりないように思ったので、書いてみました。ご参考まで